双子育児中に「保育士」資格、独立後「放課後児童支援員」資格を取得。
PTA副会長経験を活かし、PTAの効率化・適正化を通して、家族の時間を最大化することを目的に、PTA’S(ピータス)を運営しています。
全国のPTA役員さんや保護者のみなさんの、少しでもお役に立てれば幸いです。
「PTAの地域移行」について、インタビューさせていただきました
この度、千葉県流山市立小山(おやま)小学校PTA役員の皆さんに、「PTAの地域移行」についてインタビューさせていただきました😊
小山小学校は、児童数1,700名を超えるマンモス校で、PTAの課題も多岐にわたると同時にスケールも大きく、様々な工夫をされています。
工夫の一環として、下記のようにピータスをはじめ、様々なサービスを活用されています。
●<旗当番シフト作成ツール>「保護者の希望に応じて、旗振りポイント・曜日・頻度等を選択出来るようにできた上に、委員の負荷と数を大幅に削減できました」
●<IoT見守りサービス>「PTAにとって利用し易く、周年事業積立金を有効に活用できるサービスを提供いただき、有難かったです」
●<面談調整ツール>「保護者・学校双方にとって、Win-Winになれるツールを開発することができました」
●1,000人規模のPTA参加を実現 LINE WORKSがつなぐ子育てタウン流山市
インタビューさせていただいたのは、小山小PTAの峰松拓毅会長、秋田麻衣子副会長兼会計、志賀えり特別委員のお三方。
全国の市の中で6年連続で人口増加率が全国1位の流山市における、学校と地域の連携促進について、更に、PTAの役割について、様々な角度からお話しを伺いました。
地域移行の背景と意図
PTAの地域移行には、いくつかの背景があるようです。
まず、小山小に限ったことではありませんが、従来のPTA活動には強制感や閉鎖性といったネガティブな要素が根強くあります。この解消を図り、より多くの保護者が参加しやすい環境を作ることを目的に、小山小ではPTAを運営しています。実際にボランティア制度や様々なツールを導入することで、保護者の参加意欲が高まり、活動が盛んになったことが実感できるそうです。
ただ一方で、本部役員の確保には苦慮しているとのこと。
峰松会長は、「活動の盛んさが逆にハードルを上げてしまったのかも…」と分析した上で、「本部役員が集まらないなら、無理して集めるよりも、役員がゼロで回る組織にすればいいのではないか」と考えたそうです。
この発想の転換は、なかなか衝撃的でした。
もともと、小山小PTAが行うボランティア活動と、地域学校協働活動推進員(地域コーディネーター)が行う活動は重複していたそうです。
更に、小山小PTAでは保護者とのコミュニケーションツールにLINE WORKSを使っており、ツールの特性上、組織やグループを横断した繋がりが可能でした。
そして小山小PTA本部の志賀さんが、地域コーディネーターも兼務されていたので、下図のようにLINE WORKSを運用することができました。
こういった状況が重なったからこそ、「本部役員ゼロ」という発想が生まれ、実現に向かいつつあるのだと思います。(下図参照)
小山小含む周辺の校区では、この図の通り、既に地域コーディネーターが学校支援ボランティアなどの取りまとめを行っており、PTA本部の役割を引き継ぎつつあるそうです。
「地域学校協働活動推進員(地域コーディネーター)」とは、教育委員会による人選のもと、地域と学校の連携・協働を推進するために重要な役割を果たします。
教育委員会から委嘱され、少額とはいえ有償のため、PTAよりも安定的で持続性が担保されるはず、と峰松会長は言います。
とはいえ、地域の中には、異なる年齢の子どもを持つ保護者もいれば、保護者でない高齢者も含まれ、中には回覧板を希望される方もいらっしゃいます。子どもの卒業後もお世話になった学校のために、とボランティアに参加される方もいれば、子どもが進学する中学校の情報収集のために参加する方もいるそうです。そういった様々な要望やニーズに対して、コミュニケーションツールも活用しながら、細やかに対応くださる地域コーディネーターさんがいてくださるのは、PTAとしても保護者としても地域の住人としても、とてもありがたいことだと感じました。
以上のような、PTAの活性化と、それに伴う思わぬ役員不足、そして地域とPTAがツールを共有して共に効率化を進め得るという実績が、「PTAの地域移行」の背景にあるようです。
現状の課題
上述のように、PTA本部の役割を地域コーディネーターに移管できる道筋が見えたため、「PTA本部をなくそう」という意見が小山小PTAでは出たそうです。そこで問題となったのが、会費の管理についてです。
他校PTA同様、小山小PTAも会員家庭からPTA会費を徴収しています。PTA活動の原資がこの会費である以上、PTAの誰かが管理せざるを得ません。
PTA会費の使途は、PTAによって様々です。
・PTAが主催したイベント等に備えた保険代
・PTAから子ども達への記念品代
など、子ども達のために拠出することが大前提ですが、中には日々の学校生活のために拠出しているPTAも多いのではないでしょうか?
PTA予算で学校備品を購入することの是非については、こちらの記事をご覧ください。
●調べて欲しい教えて欲しい:PTAの予算で学校の備品を買うのはアリ?ナシ?
上記記事にもあるように、本来はPTA予算に頼るのではなく、教育予算が拡充されるべきです。
会計担当の秋田さんからも、「とはいえ、追加の予算の承認にはとても時間がかかりますよね、それを待っていたら子ども達が卒業してしまいます。なので、教育予算でできないところをPTAでやるっていうのは、アリだと思います。ただそれは、あくまでも暫定措置なので、PTAとしても、予算の手続きの簡素化や基準の明確化について訴えていくべきだと思います。例えば、教育委員会として、このようなものであれば買えます、買い替えられます、という基準を作って公開いただければ、先生方も保護者も理解し易くなるのではないでしょうか。こういった、予算についての透明性も確保できれば、お互いの信頼関係構築にも繋がるのではないかと思います」といった提言がありました。
現在は、会員から集める年会費に代わって、用途に応じてプロジェクト単位で任意で集金する方法や、寄付なども視野に、今後の運営費の集め方について検討しているそうです。
今後の展望
今後は、地域全体での連携や市の支援も得ながら、PTAの地域移行を更に進めていく予定とのことです。具体的には、市P連を含めた議論や協力体制の構築を模索していくとのこと。また、お金の管理や更なる活動の見直しについても、引き続き取組んでいかれるそうです。
「PTAの地域移行」は、地域社会と学校の連携強化に向けた新たな一歩です。保護者や地域の方が協力し合いながら、子ども達にとってより良い教育環境を築いていくことは、PTAにとっても地域にとっても、本来の目的ですし目指す姿ではないでしょうか。
新しい取組みに課題はつきものです。
また、地域や校区によって、環境も様々です。
ですが、小山小PTAや校区の皆さんの、柔軟な発想と、想いのある保護者や地域の方との協力によって課題解決を図っていく様子は、全てのPTAにとって参考になるのではないかと思います。
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