PTA会費の徴収を学校に依頼すると、「業務委託契約」が要るの?(業務委託契約書等ひな形ダウンロード有)

PTAをたすけるPTA'S(ピータス)_業務委託契約

PTA業務の中で、「会費の徴収」に頭を悩ませる人も多いのではないでしょうか。

「PTA役員が各家庭を回って現金で徴収」「給食費などと一緒に学校から引き落としてもらう」……さまざまな方法があるようです。

多くのPTAにとっては、学校に一緒に引き落としてもらう、いわゆる“抱き合わせ徴収”がラクなのかもしれません。

しかしあくまでもPTAは学校から独立した任意組織です。学校に集金を依頼する場合にはどのような注意、手続きが必要なのでしょうか? 透明かつスムーズな会費徴収のために、確認していきましょう。

 

PTAが学校に集金依頼をするなら「業務委託契約(準委任契約)」が必要

 

結論から言うと、PTAがその会費の集金を学校に委託する場合、PTAと学校との間で業務委託契約(厳密には準委任契約)を結ぶ必要があります。

そもそもPTAは「Parent Teacher Association、父母と先生の会」の略。保護者と教師が協力して学校運営に携わり、子どもにより良い教育環境を整えるために立ち上がった任意加入の「社会教育関係団体」の一つです(詳細はこちらの記事をご覧ください)。つまり、PTAとは学校法人が運営する内部組織ではなく、あくまでも保護者と教師が運営する外部組織なのです。

この法律で「社会教育関係団体」とは、法人であると否とを問わず、公の支配に属しない団体で社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とするものをいう。——社会教育法第三章第十条

さて、業務委託契約は、発注者が外部の受託者に対して業務を委託する際に交わす契約です。業務委託契約は実務上の用語なので、今回のようなPTAと学校間の契約を厳密に言うと、民法656条の「準委任契約」に当たります。

この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。(民法656条)

法律行為の委託を「委任契約」、それ以外の委託を「準委任契約」としています。PTAが集金を学校に委託する行為は法律行為(何らかの意思表示によって、法律効果を生じさせる行為を指します。売買契約などがその代表例です)ではありませんので、準委任契約に当たるのです。

もちろん会費の引き落としに限らず、PTAから何らかの業務を学校に委託する場合には、同様の契約を取り交わす必要があります。

 

学校に集金を依頼する際に注意すべきポイント

 

1:保護者に対して学校に委託することの同意を取る

 

さて、学校に集金を委託する場合、いくつか注意しなければいけないポイントがあります。

まずは、PTAの加入者に対してその旨をきちんと伝えることです。

基本的には、PTAの入会届に、「PTA会費の引き落としを学校に委託することに同意する」などの項目を設けて、保護者の確認を取っておくのが良いでしょう。

PTAは任意加入の組織ですが、強制的に加入させられたり、任意であることを知らせずに加入を促したりといったケースが問題になっています

仮に事前の説明なく、学校徴収金と一緒にPTAの会費を徴収してしまうようなことがあると、PTAが強制加入であるかのような誤解を招きかねません。そうならないためにも、入会の時点で、PTAの加入が任意であることはもちろん、その会費の徴収を学校へ委託することも合わせて伝え、同意を取るようにしましょう。

 

2:委託に際して個人情報の取り扱いを確認する

 

気をつけなければいけないポイントの2点目が個人情報の取り扱いです。

PTA活動においても個人情報保護法を守らなければいけないことは、こちらの記事でも示しました。

学校に集金を依頼する場合、どの家庭から集金をすべきかを伝えなければならないため、PTAは会員の情報を学校へ提供しなければなりません。しかし、何の説明もないまま学校に情報を渡せば、それは立派な個人情報の漏洩に当たります。そうならないためにも、手続きにあたって正しい手順を踏みましょう。

まずはポイント1同様に、委託に際して個人情報を学校へ渡すことについて、保護者の同意を得るようにしましょう。これも入会届に利用目的を明示し、委託する旨を記載しておくのがスムーズでしょう。

また、以前の記事で見た通り、委託に対しては委託先の「適切な選定と監督」も必要です。

具体的には、個人情報が適切に取り扱われているか口頭で確認する、情報の持ち出し禁止、委託された業務以外の利用禁止、返却や廃棄などについて記載した書面を渡す、といった対応です。(引用:◆PTAは個人情報をどこまで守ればいいの?(個人情報取扱同意書ひな形ダウンロード有)

さて、今回見た通り、PTAが学校に会費の徴収を委託する際には、適切な手続きと保護者への説明が不可欠です。現在、またはこれから同様の方法を考えているPTAでは、ぜひこの辺りのポイントを参考に、透明性の高いPTA活動をしていただければと思います。

一方で、記事中でも少し指摘した通り、こうした“抱き合わせ徴収”自体の是非は検討の余地があります。効率的ではありますが、PTAと学校の独立性や、現状PTAを取り巻く問題を踏まえると必ずしもこれが正しいやり方というわけではありません。

それぞれのPTAが置かれた立場を念頭に置きながら、PTA、保護者、子どもたち、学校それぞれが安心して活動を続けられるように、組織の中でも集金方法を検討してみてください。

「委任契約書(業務委託契約書)」
関連書類ダウンロードはこちら

※委任契約書(業務委託契約書)」ひな形及び作成時留意事項、「PTA入会届・会費引落委託・個人情報取扱同意書」ひな形、「PTA退会届」ひな形をダウンロードいただけます。
※上記書類は、PTAが任意加入ってホント? 「退会を認めない」「無理やり役員に」は法的に問題あり?」のページでダウンロードしていただける「入会届」等をベースに作成しています。
※この記事では、上記の通り「委任契約書(業務委託契約書)」のひな形をダウンロードできるようにしていますが、書面を交わさなければ契約が成立しないというわけではありません
口頭での確認でも「契約」は成立します。(もちろん、その口頭確認を対外的にもわかるようにするために、「契約書」という書面に残す方が好ましくはあります。)
重要なのは、書面を交わすことよりも、先にも述べた通り、PTA総会等で保護者の合意を得ることです。
もし、PTA総会で承認は得ているが契約書がない場合には、どこかのタイミングで「契約書」を作成することをお勧めします。
万が一、PTA総会で承認を得ていない場合は、特に罰則はないと思われますが、臨時総会を開くか次の定期総などで、早急に承認を得ておく必要があるでしょう。

※上記ひな形は、法的な効力を保証するものではありません。これを利用したことによるトラブルについては、当サイトで責任を負いかねますので、各PTAの責任のもとご利用ください。

2021年6月24日掲載
2021年6月25日加筆

 

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