このブログは、PTA’S運営者の増島による、PTAのためのブログです。
双子育児中に「保育士」資格、独立後「放課後児童支援員」資格を取得。
PTA副会長経験を活かし、PTAの効率化・適正化を通して、家族の時間を最大化することを目的に、PTA’S(ピータス)を運営しています。
全国のPTA役員さんや保護者のみなさんの、少しでもお役に立てれば幸いです。
2026年8月21日〜22日の2日間にわたり、歴史と文化が息づく古都・奈良にて「第74回日本PTA全国研究大会奈良大会(第52回日本PTA近畿ブロック研究大会奈良大会)」が開催されました。
本大会のスローガンは、『建国の地 大和からの発信 コンヴィヴィアリティな「わ」~挑戦するなら今シカない~』。
今回は、21日(1日目)の「分科会」と、22日(2日目)の「全体会」に実際に参加したレポートをお届けします!
「PTAに防災活動って必要なの?」「全国大会って一部の役員さんの“旅行”じゃないの?」…そんな疑問や不信を抱える保護者の皆さんにも、現地で交わされた対話と、子どもたちを想う大人の想い、そしてPTAの持つ「可能性」を知っていただければ幸いです。
1. 8/21(金)分科会_全8分科会から「防災」を選んだ理由
大会初日である21日は、奈良県内各所でテーマ別の分科会が開催されました。 今回の奈良大会では、以下の通り全8つの分科会が用意されていました。
●第1分科会:家庭教育:Happy な毎日が子供の未来を開く
●第2分科会:学校教育:楽しみながら考える力で豊かな学びを実現するには
●第3分科会:人権教育:ネット社会を生き抜くために、「禁止」よりも「共育」の視点を
●第4分科会:地域連携:PTAって、けっこうすごい。 未来創造作戦会議
●第5分科会:今日的課題:みんなで育てる心の元気!
●第6分科会:広報活動(防災):こどもまんなか防災の”和”
●特別第1分科会:PTAのあり方:「PTA って、今も必要?」
●特別第2分科会:地域社会共創:学校を地域社会の学びと支え合いの拠点に
どの分科会も現代のPTAや家庭が抱える重要なテーマばかりでしたが、私はその中から第6分科会「広報活動(防災)」を選んで参加しました。
なぜ今、PTAで「防災」なのか?
近年、地震や大雨などの大規模災害が頻発し、子ども達が保護者や先生と一緒ではない時に被災する確率が以前よりも高まっているように感じます。 そんな中、各地の「自主防災組織」が直面している深刻な課題が、「高齢化」「活動のマンネリ化」「担い手不足」です。
ただ、PTAの役員さんは、地域の自治会や子ども会などの地域コミュニティの役員も兼務していることが多いですよね。実は、PTAと地域の自主防災組織はとても近い距離に位置しているのです。
PTAが自主防災組織に積極的に参画することには、以下のような大きな可能性があるのではないでしょうか。
●若返りと組織のアップデート:保護者世代(若手〜中堅層)が参画することで、避難訓練のやり方や連絡手段(デジタル連絡網の導入など)が現代的にアップデートされ、誰もが気軽に参加しやすい組織へと生まれ変わる。
●家庭での防災を「自分事」に:「防災は大切」と誰もが感じつつも、家庭での備えは後回しになりがちだったり、対策が古いままだったりします。PTAという身近なコミュニティを通じて、家庭での防災意識を「自分事」へと引き上げることができます。
このような地域の課題や現状を打開するためのヒントと実践事例を求めて、奈良県吉野郡川上村の「やまぶきホール」へと向かいました。
2.「こどもまんなか防災」は“やり方”ではなく“在り方”
第6分科会の研究課題は、「こどもまんなか防災の『わ』~心の和・身体の和・つながりの輪~」。
この分科会の見どころは、防災を備蓄品やマニュアルといった「物質的な備え(やり方)」にとどめるのではなく、子どものレジリエンス(困難をしなやかに乗り越える力)や心の備え、日頃の地域の繋がりを育む「日常の在り方」として捉え直している点だと感じました。
■ 基調講演:「子供とともに学ぶ、災害を生き抜く力の高め方」
講師:国崎 信江 さん(危機管理教育研究所 代表 / 危機管理アドバイザー)
20年以上にわたり防災・防犯対策の第一線で活躍されている国崎さんから、被災動画の視聴と科学的アプローチに基づいた「新しい視点での防災」についてお話を伺いました。
●最も重要なのは「耐震性の高い家に住むこと(自助)」:耐震性が低い家では、大地震発生からわずか10秒台で外に逃げなければ命が脅かされるとのこと。まずは家そのものの安全性を確保することが基本。その上で、買った家具や家電は必ず固定し、キッチンの扉などには「飛び出し防止金具」を取り付ける。家の中で一番危険な場所は「キッチン」、二番目は物が多くなりがちな「子ども部屋」とのことでした。
●「おうちDEキャンプ(被災生活の疑似体験)」のすすめ:普段から家庭内で「不便な生活」を疑似体験(おうちDEキャンプ)しておくことで、いざという災害時に子どもも大人も慌てずに行動できるようになるとのことでした。防災教育は特別なことではなく、「日常の延長」であるべきだという言葉がとても深く刺さりました。
●自分で考え、自分の力で身を守る:「防災に唯一の正解はない。生き抜くことができれば、それが正解」というメッセージには、なるほど、と頷かされました。子ども達自身が「自分で考えて行動する力」を育む大切さを学びました。
■ 実践発表&パネルディスカッション:能登半島地震の現場から見えたPTAの底力
発表者:宇田 直人 さん(石川県PTA連合会 前会長)
パネリスト:泉谷 隆夫 さん(川上村村長)、新子 泰夫 さん(奈良県教育委員会事務局 体育健康課 課長)
ファシリテーター:岡﨑 しのぶ さん(黒滝村PTA会長)
実践発表では、2024年の能登半島地震で被災した石川県PTA連合会の前会長である宇田さんから、極限状態におけるPTAのリアルな活動が報告されました。
●行政の手が届かない、隙間の支援をPTAが担う:年度内に予算化されていない、あるいは「命に関わるわけではないから」「一部の子どもたちだけを特別扱いできないから」といった理由で行政が動けない領域に、PTAが下記のように迅速に手を差し伸べたそうです。
・避難を余儀なくされた子どもたちへ「学用品キット」の配布
・集団避難した中学生たちの心のケアや支援
・映画鑑賞(1/25)や北陸新幹線の試乗(2/15)といった、子どもたちに笑顔を取り戻すイベントの企画
・被災地で奮闘する先生たちへの支援(学校にリフレッシュスペースを設置、プリンターやピアノなどの寄贈)
・「親子の手紙 震災特別版」を子ども8万人に配布
●「子どもの日常」を取り戻すことが、復興の第一歩:宇田さんは、「子どもの生活リズムが戻ると、大人の生活も戻りやすくなり、地域の復興が加速する。今こそPTAの出番!」と熱く語られました。
その後のパネルディスカッションでは、発災直後はPTA単体でできることは少ないものの、「コミュニティがしっかりしている地域は、圧倒的に復興力が強い」「普段からお互いの名前も知らない希薄な関係性では、いざというときに助け合えない」という厳しい現実と、だからこそ日頃から保護者と学校・地域がお互いに繋がっておく重要性が共有されました。
■ 屋外展示:防災を肌で感じる!体験&グッズコーナー
会場の外には、最新の防災グッズや体験型ブースが多数並び、多くの参加者で賑わっていました。
●災害時のプライベート空間(チャウピーレンタカー):軽キャンパーを活用した避難生活スペースや、ペット連れ避難の展示。
●トイレ・給電デモ:災害時の簡易トイレについての説明や、ハイブリッド車・EV等から電力を供給する給電実演。
●安否確認・救助体験:災害用伝言ダイヤル(171)の公衆電話を使った体験や、救助用シューターなどの展示・体験。




3. 8/22(土)全体会_温かい歓迎と記念講演
大会2日目となる22日は、天理駅の近くにある会場にて「全体会」が開催されました。



会場に到着すると、まず屋外の広場で地元の高校生による物販ブースが設けられており、多くの参加者が高校生たちとの心温まるやり取りを楽しんでいました。 そして会場に入ると、2階席から天理高校ブラスバンド部による素晴らしいウェルカム生演奏が響き渡り、全国からの参加者を賑やかに出迎えてくれました。さらに、全体会の開会前には、天理大学の学生の皆さんによる荘厳な雅楽の合奏と舞がステージ上で披露され、大和の歴史が宿る奈良ならではの心尽くしの歓迎に会場中が湧いていました。
■ 記念講演:古典や歴史から紐解く、大人の役割と関係性
記念講演では、小名木善行氏より、日本の古典や歴史的な視点からアプローチした「これからの教育と大人のあり方」についての講話が行われました。
●相手の立場(観測点)に立つ関係性:正しいことを主張するだけでは関係性がこじれる場合があり、古事記や源氏物語などの古典が示すように、自分の視点(観測点)を相手の立場へ柔軟に移動させ、多角的に物事を見る関係性の重要性が語られました。
●「学ぶ」の起源と大人の役割:旧字の「學」の成り立ちには「複数の大人が手を取り合って、一人の子どもを一人前へと導く」という意味が込められているとのことで、学校・地域・PTAなどの大人たちが連携して子どもを育てる役割についての考えが紹介されました。
●全員が笑顔になる「出口設計」と生命力:対立する議論そのものに終始せず、「最後はどうすれば関係性を維持し、全員が笑顔になれるか」をあらかじめ想定する「出口設計」が大切であること、また神話における生命力の象徴に触れ、失敗しても明るく原点からやり直す姿勢の意義が提示されました。
「大人が笑顔で、元気でいることが子どもを支え、良い未来を育てる力になる」という、これからの大人のあり方についての視点を投げかける講演内容となっていました。
4. 全体会を彩る充実の展示と、「P連」の繋がりの大切さ
全体会の会場内では、記念講演のほかにも、展示ブースがとても充実していました。
■ 全国のPTAの「自慢」と「企業×学校パートナーシップ」
全国のPTAから集まった活動アイデアを紹介する「わが校自慢」のポスターや、企業と学校が連携したキャリア教育・地域活性化のパートナーシップ事例が多数展示されていました。







●森林組合との木工体験や特殊伐採の見学
●地元企業と連携した14の職業体験ワーク(ネイルサロンやパティシエなど)
●段ボールを使ったジオラマづくりや吉野杉のL字デスク制作
●地域ぐるみでの子ども麻雀あそびイベントの開催
■驚きのバリエーション👀「奈良県内の給食・ご当地カレー」展示
さらにユニークだったのが、奈良県内の様々な地域や学校が開発した「カレー」のポスター展示です。 「卑弥呼のキーマカレー」「葛淀こんにゃくカレー」「ジビエカレー」「天理のスタミナカレー」「アレルギー対応の冬野菜カレー」など、地域の食材や文化を活かした色彩豊かな給食カレーの紹介は、見ているだけで楽しく、「食育」を通じた奈良への地元愛が強く感じられました。





■ 横で繋がる「P連」の存在意義と、熊本への想い
全体会でも分科会でも、次回の全国大会が熊本県で開催されることを受け、熊本地震への支援の呼びかけが活発に行われており、多くの参加者が賛同して募金等を行っていました。
2024年に能登半島地震で被災した石川県Pに対し、2016年に被災した熊本県Pから「子どもの生活を取り戻そう!」と温かい励ましが送られ、日P(日本PTA全国協議会)からも支援金が送られた実績があります。
「いつ、どこで被災するか分からない」という不安の中、「子ども達と、現場で奮闘する保護者・先生を支えよう」と全国のP連(PTA連合会/連絡協議会等)が横で繋がり、迅速に助け合える。これこそが、PTAという組織が持つ意義なのだと、改めて現地で実感しました。
5. 【参加者レポートの共有】「一部の役員の“旅行”では?」という批判に対して
日Pの全国大会には、全国からPTA連合会/連絡協議会の役員さんが集まります。 私もこの奈良大会で、北海道・愛知・福島など、普段出会うことのない地域の役員さんとお話しし、それぞれの地域が抱える課題や工夫について情報交換をすることができました。
しかしその一方で、役員さんの遠征費や宿泊費が「PTA会費」から拠出されていることに対し、「一部の役員だけの“旅行”に会費を使うなんて!」「遠すぎて一般の会員は行けない」 といった批判や不信の声が、毎回上がるのも事実です。
だからこそ、全国大会に参加した役員さんたちは、そこで得た貴重な知見や全国の先進事例を、自分の学校(単P)や地域に還元しようと、レポートを作成し共有・周知に努めています。
例えば、川崎市PTA連絡協議会では、下記の通り参加者の皆さんによるレポートがサイトに公開され、広く単P及び地域へと還元されています。
【川崎市PTA連絡協議会のPTA全国大会参加レポートはこちら】👉(準備中)
「自分は参加していないから」と批判だけで終わらせるのではなく、「現地の会場で、どんな人が、どんな想いで子どもたちのために対話し、それを受け取った参加者がどのように単Pや地域に持ち帰ろうとしているのか」を、ぜひ一般の会員の皆さんにも知っていただければと思います。
■ どこからでも参加できる「これからのPTA」へ
嬉しい変化もあります。 次回令和9年10~11月に開催される、日本PTA近畿ブロック研究大会 わかやま大会では、分科会のオンデマンド配信が予定されているそうです!
これにより、仕事や家事で現地に行けない役員や会員であっても、自宅やスマホから全国の学びや事例共有にアクセスできるようになるのではないでしょうか。 「一部の役員のための大会」から、「誰もが, どこからでも学べる・参加可能な大会」へ。少しずつですが、時代に合わせたアップデートが進んでいることに、大きな期待を寄せたいと思います✨
6. 多様な学びと全国の繋がりから、子どものための「わ」を広げる
PTA活動は、時に「義務」や「負担」という言葉で語られがちです。 しかし、今回の大会で用意された多様なテーマから主体的に選べる全8つの分科会には、それぞれの地域や学校が明日から実践できるヒントが多数盛り込まれていました。また全体会では、「全国のPTAが横一線で繋がる」ことが、いざという時に子ども達を支えるセーフティーネットになり得ることを改めて実感することができました。
今回の大会で強く印象に残っているのは、特に分科会で繰り返し語られた「コミュニティがしっかりしている地域は、復元力が強い」という事実と、「子どもの生活を取り戻すために、今こそPTAの出番!」という強いメッセージでした。PTAをはじめとした大人たちの、外気温(当日の最高気温37.6℃💦)にも負けない熱い想いを感じるメッセージでした✨
子ども達を一番近くで見守る親や先生が、必要な学びを主体的に選び、全国と繋がり、楽しみながら活動すること。奈良大会のスローガンにある「コンヴィヴィアリティ(共に生きる心地よさ、共生)」な関係性を育むことが、子ども達の安心安全や生き抜く力、そして未来の笑顔へと繋がっていくことを、改めて確認することができる大会でした。
PTAは、ほぼ全国の園や学校に存在しています。そのPTAが熱い想いをもって活動し、地域(近隣校)はもちろん全国で繋がることができれば、学校生活だけでなく子ども達の日常が、より安心安全で豊かなものになる。
そのための支援を、保護者負担の軽減だけでなく、PTAの皆さんの子ども達への想いを具現化するお手伝いを、ピータスとしてもっともっと取り組んでいきたいと想いを新たにした大会参加となりました。
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