耳を疑うようなニュースが飛び込んできました。
小学校と中学校のPTA会計担当者が、PTA会費などおよそ1,000万円を横領したというニュースです。
その影響で、PTA活動に支障が出ており、会計担当者は返還を約束しているということでした。
そもそも、PTAという任意団体において、こういった横領事件が起きた場合、どのような罪に問われるのか、また、どうすれば防げたのか、等について、弁護士の先生に伺いました。
Q1.この会計担当者は、どういう罪に問われる可能性があるのか A.「会計担当者は、業務上横領罪(刑法253条)に問われる可能性があります。 ここで「業務」とは、「社会生活上の地位に基づき反復継続して行われる事務」のことを言います。 業務上横領罪が単純横領罪より量刑が重いのは、業務が反復継続して行う事務であることから、横領が行われるリスクが高く、被害が大きくなる性質があるためです。 【業務上横領罪(刑法第253条)】 次に、横領行為は不法行為ですから、会計担当者は民法709条に基づき、損賠賠償義務を負います。 |
Q2.今後、同じことが起きないためには、どのような体制にすればいいのか A.「数万円ではなく、これだけ多額の横領を許してしまったことは、そもそもの体制に問題があったと言わざるを得ません。 学校の規模によっては、一年間でも数百万単位のお金を扱う場合もあります。故意に不正をしたり、着服する場合だけでなく、単純にミスが起こる場合もあり、会計担当者が不正を疑われるなどしてトラブルの原因にもなることもあります。会計担当者はそれだけ重い責任があるため、担い手がなく、引き受けてくれた役員に対し、意見できにくい雰囲気があるかもしれません。 しかし、会計担当者だけに大きな責任が生じるような組織運営ではなく、複数で担当し、相互に監督協力することで、一人にかかる負担を軽くしたほうが、担い手も増え、組織としてもリスクを軽減できるため、PTAの健全な運営に繋がります。 |
会計担当に限らず、ほとんどのPTA役員は、役員に決まったプロセスはどうであれ、真面目に一生懸命PTA活動に取り組んでいます。
こういった、ショッキングな事件をきっかけに、PTA役員への信頼が失われたり、それを理由に引き受けてくれる保護者が減ってしまったり、対策も講じないままPTA不要といった論調に拍車がかかるのは、よくないと思います。
任意加入の周知徹底や情報開示、保護者との合意形成など、PTAの業務改善・適正化は、このような犯罪(犯罪やミスを引き起こしてしまう環境含め)の抑止力にもなります。
PTA’S(ピータス)のミッションは、「PTA を効率化し、就労の有無や父親母親に関係なく、誰もが子どものために無理なく参加できる PTA の実現」です。
今後も、犯罪抑止や、犯罪が起こらない環境整備という意味でも、様々な情報を発信していきます。
2021年7月16日掲載
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※尚本解答は、弁護士からのアドバイスに基づいて作成しています。
状況によっては異なる旨、PTA’Sの利用規約(https://ptas.site/terms/)に則って提供する旨をご理解の上、ご活用ください。