2024年8/23・24開催‗日本PTA全国研究大会 川崎大会 参加レポート

PTAをたすけるPTA'S(ピータス)_日P全国大会_川崎大会
PTAをたすけるPTA'S(ピータス)_ブログfor PTA このブログは、PTA’S運営者の増島による、PTAのためのブログです。

双子育児中に「保育士」資格、独立後「放課後児童支援員」資格を取得。
PTA副会長経験を活かし、PTAの効率化・適正化を通して、家族の時間を最大化することを目的に、PTA’S(ピータス)を運営しています。
全国のPTA役員さんや保護者のみなさんの、少しでもお役に立てれば幸いです。

第72回「日本PTA全国研究大会 川崎大会」に参加してきました!

PTAをたすけるPTA'S(ピータス)_日P全国大会_川崎大会

8月23・24日に川崎市のとどろきアリーナで開催された、第72回「日本PTA全国研究大会 川崎大会」に参加してきました。

川崎大会のことは、ピータスの「PTAチャレンジャー100人インタビュー」がきっかけで知りました。
インタビュー動画は、こちらからご覧いただけます👀

インタビューを通して、今回のテーマ(【ウェルビーイングの実現を川崎の地から ~活かそう「縁」の力~】)や、開催形態の工夫(1会場・360度ステージ・対話形式)、参加者集めへのこだわり(動員要請無し)など、理解しているつもりでしたが、実際に参加してみると、想像を超えるスケールとクオリティと熱気で、ただただ驚きました👀

 

前例にとらわれず、工夫を凝らした開催形態

まずは、例年とは大きく異なった開催形態からご紹介します。

1テーマ1会場

実は、日Pの全国大会に参加するのは、今回が初めてでした💦
通常は、複数の会場で分科会が開催され、参加者はテーマを選んで会場に足を運ぶそうです。ただ今回は、実行委員の皆さん曰く、「テーマを【ウェルビーイングの実現を川崎の地から ~活かそう「縁」の力~】に絞ることで、各自が自分のものにして持って帰り、日常に活かすことに重点を置く大会にしたい」とのことでした。
様々なテーマから興味に合わせて参加会場を選ぶのも楽しそうですが、1会場に共通の目的で全国から3,000人近いPTAの人が集まり、「久しぶり!」と写真を撮り合う姿は、まるで推しのライブやコンサートのようでした。

360度ステージ

今回の会場は、プロバスケットボール川崎ブレイブサンダースの本拠地とどろきアリーナでしたが、ステージがセンターに設置され、どこからでも登壇者の姿を見ることができました。
会場内は撮影禁止だったため、写真でお見せできず残念ですが、センターステージにスポットライトが当たり、四方から見られるビジョンに映像が映し出される様子は、スポーツイベントやエンターテイメントのようで、迫力満点でした。
登壇者も、360度を意識して、とてもアクティブに話してくださいましたし、拍手やリアクションが、センターステージを中心にうねりのように拡がったり集まったりするようで、とてもワクワクする、心地のいい一体感を感じることができました。

対話型だからこその学び

会場入りする際に、「近くの人とグループになってディスカッションするので、お知り合いの方とは近くに座らないでください」と誘導されました。正直、「初めましての人とPTAについて話すの?!」と少し戸惑いましたが、登壇者やファシリテーターの巧みな問いかけもあって、とてもスムーズにディスカッションすることができました。私は、1日目は山梨や岩手の先生と川崎のPTA役員さんとのグループ、2日目は宮城のPTA役員さんとグループになりました。「なるほど!」と納得したり、「本当に?!」と驚いたり、「ですよね~」と共感したり。PTAという組織の中でそれぞれ立場は違っても、子ども達のために、という共通の想いのもと、話題は多岐にわたりました。会場中で、とても“初めまして”とは思えない闊達なディスカッションが行われていて、皆さんの目がイキイキしていたのが印象的でした。
“研修”や“講演会”というと、「いい話を聞いたな~」という印象だけが残る、というのはよくあることだと思います。けれど今回の全国大会は、ただ聞くだけではなく、感想や思いを言語化して共有する、環境とタイミングが用意されていました。そして、参加者が“動員”されたのではなく、“自らの意思で参加している”からこそ主体的な対話が生まれ、より深い学びに繋がったように感じました。

事例紹介・情報共有

今回、サブテーマが「活かそう縁の力」ということで、様々な県の事例紹介も豊富でした。静岡市は、市Pが自治体やメーカーに声掛けし実現した親子模型フェスの事例、岐阜県は、県内各地でPTAフォーラムを実施し、一丸となってPTAのアップデートを推し進めている事例、そして川崎市は、子ども達のお料理のアイデアをお店でメニュー化するPTA’s(ピーティーエーズ)キッチンという取組み事例が紹介されました。

詳しくはこちらをご覧ください。
・静岡:https://www.youtube.com/watch?v=vRp_99cHKpM&t=5s
・岐阜: https://www.youtube.com/watch?v=bA8UmCgsJjQ&t=47s
・川崎:https://www.youtube.com/watch?v=UgogKmAWsF0&t=1s

いずれも、各PTAが感じている課題を、それぞれの地域ならではのやり方で解決し、街づくりにもつなげている様子が、PTAだからこそだと思い、感動しました。

等々力アリーナの2階展示コーナーでは、川崎のPTA‘sキッチンをはじめ、登壇者 西野博之さんの「夢パーク」や吉田田タカシさんのトーキョーコーヒーの取組み、親野先生の「ほめ写」の紹介展示もあり、お話いただいた内容とリンクして、とても分かりやすかったです。

PTAをたすけるPTA'S(ピータス)‗日P全国大会川崎大会
<PTA’sキッチン>
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<川崎夢パーク>
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<トーキョーコーヒー>
PTAをたすけるPTA'S(ピータス)‗日P全国大会川崎大会
<ほめ写>

 

 

ウェルビーイング”を多角的に理解できるコンテンツ

続いてテーマとコンテンツについてです。

先述のとおり、今回はテーマが【ウェルビーイングの実現を川崎の地から ~活かそう「縁」の力~】の1つに集約されていました。正直私は、「ウェルビーイングって、聞いたことあるけど、何だかよくわからない・・・」という状態での参加でした💦多分、同じような参加者がたくさんいたと思います(^^;)
けれど、2日間開催であることを活かしたプログラムと、共感と学びがバランス良く織り交ぜられたコンテンツで、ウェルビーイングについてとても腹落ちする内容になっていました。

1日目

まず現日P会長の太田敬介さんと、京都大学教授の内田由紀子先生からお話を伺いました。太田会長からは、日Pという立場から見たPTAの現在地について、内田先生からはPTAの縁を活かした教育現場の改善について様々な提言がされました。特に、「開かれた学校のためにPTAは重要」という内容に関しては、日々多くのPTAから相談を受け、様々な学校の現状を知る身としては、とても共感しましたし、考えさせられました。

PTAをたすけるPTA'S(ピータス)‗日P全国大会川崎大会

その後基調講演として、川崎市夢パークの施設長で、長年不登校支援に携わってこられた西野博之さんから、川崎市の子ども権利条例のお話を皮切りに、いじめの現状や、子どもの精神的幸福度のお話などを伺いました。親として、身につまされる内容がとても多くありました。だからこそ、「大人の不安が子どもを追いつめる」というお話を聞き、PTAを支援する事業者として、保護者の皆さんの負担や不満を軽減するために、もっともっとやるべきことがある、と身が引き締まる思いでした。

休憩の後、文部科学省の土屋美樹さんから、「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」COCOLOプランの説明がありました。スクリーンに映し出された資料の文字が小さ過ぎて、よく読めなかったのは残念でしたが、司会の堀潤さんがその点をいじり笑、「文部科学省のHPに載ってますから」とフォローしてくださることで、逆に参加者がHPにアクセスし、より多くの情報を得たのではないかと思います。

文部科学省のCOCOLOプランを受けて、次にお話くださったのは、トーキョーコーヒーの吉田田タカシさんでした。トーキョーコーヒーとは、登校拒否のアナグラムで、「問題は子どもの不登校ではなく、大人の無理解」という視点で不登校支援に取り組んでいらっしゃいます。時に、親としてドキっとするような内容も、ユニークな語り口ゆえに、スルッと心に届いた気がします。「大人が変われば子どもも変わる」という吉田田さんからの「PTAが風土や雰囲気を変える一助になるはず」という言葉は、会場中の大人達の胸に響いたのではないでしょうか。

子ども支援の専門家の皆さんからのお話の次は、ファシリテーターも務めるチューリップ保育園の園長塩沢節子さんと、PTA歴7年のベテラン上村和弘さんによる、実際に保護者や子ども達と対峙している現場目線でのセッションでした。事例も交えながらお話いただく内容は、既視感もあり、専門家の皆さんから感じた納得感とはまた違う、安心感や共感を感じることができました。

PTAをたすけるPTA'S(ピータス)‗日P全国大会川崎大会
<リーフレット>

ここで1日目のコンテンツは終了。途中で実施したディスカッションの内容も踏まえ、入場時に配られたリーフレットの「大会1日目 あなたが得られたことはなんですか?」の問いに対する回答を、QRコードから送信しました。

2日目

2日目は、前日に集まった回答の全体共有から始まりました。自分以外の人が、同じ話を聞いてどう感じたのか、何を実践しようとしているのか、それらを知ることも、とても大きな学びになりましたし、具体的な実践のイメージができて、とても参考になりました。

全体共有の後、2日目は「自己肯定感を高め合う家庭教育の大切さ」について、教育評論家の親野智可等先生と川崎市内で単P会長をつとめるクローラン悦子さんからお話を伺いました。「自己肯定感が大切!日本の子ども達は自己肯定感が低い!」という話はよく耳にしますが、「じゃぁどうすればいいの?」というのが正直なところだと思います。その点を、「ほめ写」を活用した具体例を挙げつつお話いただけて、参加者全員が親として参考になったのではないかと思います。

休憩の後、司会の堀潤さん、親野智可等先生、次回全国大会会場である石川県Pの宇田直人実行委員長によるセッションが行われました。全国大会ならでは、ということで、全国のPTAの事例が紹介されました。参加者にもマイクが向けられましたが、その度に、山口・福岡・沖縄・栃木・大阪と県が異なり、本当に日本中から集まっていることがリアルに感じられました。また、それぞれの方言で、その地域なりの取組みや子ども達への想いを熱く語っていらっしゃる様子に、全国大会ならではのスケールと、同じ想いの人が日本中にいるんだという心強さを感じました。

そして締めくくりは、「ウェルビーイングといえばこの人!」ということで、大学でウェルビーイングについての教鞭もとっていらっしゃる前野マドカさんより、「ウェルビーイングを社会に広げることの大切さ」というお話を伺いました。ご自身もPTA役員の経験のある前野さんのお話はとても説得力があり、ウェルビーイングについて、より身近に感じることができました。
PTAというと、「子ども達のために」という思いが強すぎて、ともすれば親たち自身が楽しめない状況になってしまうこともあります。でもそうではなくて、まずは私たち親自身が楽しむこと、幸せを感じながら参加することの大切さを、改めて教えていただきました。当たり前ですが、会場にいる大人は全てPTAに関わる人達です。その場にいる私たち保護者や先生達が、まず自分自身のウェルビーイングを意識し日々実践することが、子ども達はもちろん、周囲の人達にも良い影響を与え、社会全体のウェルビーイングに繋がる。その一歩を、今この瞬間から、この会場から踏み出そう、そんな気持ちにさせられる、温かく背中を押されるお話でした。

最後に、2日間の講演やディスカッションを踏まえ、それぞれが自分なりの「ウェルビーイング」について「個人宣言」としてQRコードから送信し、すべてのコンテンツは終了となりました。

今回、PTAにおけるウェルビーイングについて、PTAの現場視点、学問的視点、実践者・行政・保護者目線と、あらゆる切り口から話を聴くことができたので、より多角的に学び・理解することができたのではないかと思います。
そして、話を聞くだけでなく、その都度近くの人とグループでディスカッションし、言語化する機会が設けられていたことで、一層理解が深まり、身体化していくような感覚を得ることができました。まさに、実行委員の皆さんが目指していた「各自がウェルビーイングを自分のものにして持って帰り、日常に活かす」が実現できていたのではないかと思います。

PTAをたすけるPTA'S(ピータス)‗日P全国大会川崎大会

PTAをたすけるPTA'S(ピータス)‗日P全国大会川崎大会

※参加者から集めた「個人宣言」について、追ってフォローアップイベントも開催し、サイトに掲載予定とのことです。全国大会をきっかけに、どのようにウェルビーイングが広がったのか、皆さんが日常生活に活かしているのか、楽しみですよね(^^)

 

PTAの可能性

2025年の開催地は、石川県だそうです。石川といえば、新年に大きな地震に見舞われ、甚大な被害を受けた県です。その石川県Pに対し、2016年に同じく大地震に見舞われた熊本県Pから、「子どもの生活を取り戻そう!」と励ましの言葉が送られました。

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<石川大会チラシ>

また、日Pから 石川県Pに2,444,595 円の支援金が送られたことも報告されました。

大きな震災が、いつどこで起きてもおかしくない状況です。ニュースや報道で知らされることだけではく、PTA・親という視点から見た、被災地の課題や対策を共有でき、励まし合える場があるのは、本当に意義深いと思いました。

とかくネガティブな話題ばかりが取り沙汰されるPTAですが、PTAだからこそ、保護者・先生という立場を超えて、全国で繋がることができる。そして、課題意識を共有し、子ども達のためにアクションを起こすことができるのではないでしょうか。

今回、西野さんの「PTAの力で変えませんか」という呼びかけと、親野先生の「親の自己肯定感と子の自己肯定感は相関関係にある」という言葉がとても胸に残りました。そして、「子どもの権利条例」に寄せて、子ども達から大人達に向けたメッセージにある「まず、おとなが幸せにいてください。おとなが幸せじゃないのに子どもだけ幸せにはなれません。」というくだりも、とても印象に残っています。

親が楽しく、ウェルビーイングな状態であることが、子どもが楽しくウェルビーイングであることに繋がる。そして、子ども達のことを真剣に考える親・大人の集まりであるPTAだからこそ、率先してウェルビーイングを実現し得るんだと、改めてPTAの持つ可能性を今回の全国大会を通じて感じることができました。

PTAは、ほぼ全国の園や学校に存在しています。そのPTAがウェルビーイングであれば、学校も子ども達もウェルビーイングに近づくはず。そのための支援を、保護者負担の軽減や子ども達への想いの具現化を、ピータスとしてもっともっと取り組んでいきたい。そう決意を新たにする、全国大会でした。

 

 

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